眠りにつく直前の様な音楽を作るべきだと確信した。 その事を確信してからは早かった。
ただ、長年音楽を作る環境から離れていたせいで、
音を出して録音する環境をまずは作らなくてはならなかった。
家にあったのはギターとアンプシュミレーターとMAC。 とうの昔にソフトシンセや良質なエフェクト群は使用出来なくなっていた。
ここにもヒントがあった。 最低限の機材で作る。
そして、イメージを最速で最良の形で表現出来る唯一の楽器、ギターのみで作る。
余計な手段と工程が減ったお陰で自身の奥底にあるものを音に変換する事にのみ集中して 曲作りを行うことが出来た。
録音はほぼファーストテイクが残った。 奥底と直結出来た演奏を優先する為、ミスタッチやノイズなど、
通常気にしなくてはならないと言われているものは無視した。
今までどれだけの曲を後からこねくり回してつまらないものにしてきたか。。。 勿論良くなったものもあるがそれは初期の衝動から遠く離れた
別のものになっている事が多い。
昔からデモ音源の録音に心が反応していた。 何かがあそこには宿っていると思う。 初めての〜には言葉で説明出来ない不思議な魅力がある。 不完全かもしれないが心からの本気。 子供の様だなと思う。
僕の場合は経験を積んで慣れてしまってはいけないと思った。
それも心の奥底でははるか昔よりわかっていたのに実行出来ずにいた。
また、歌とギターのインストを一曲ずつ交互にアルバムを作ろうとも考え、数曲歌ってみたが、当初のイメージから離れていってしまった為、
歌の無いインストゥルメンタルのみで構成した。
最大の問題は眠りにつく直前の状態を音楽にする為、
制作中は眠気との戦いとなり、録音の機会を伺いながらの制作となった。。
朝から昼過ぎまで時間を確保して 短時間で集中的に録音していった。
果たしてこれが完成してアルバムとして世に出せるのか。
それに関しては最初は半信半疑だった。なのでゴールを決める事にした。 「2018年末にデジタル配信する」と。
一曲の長さは短く。アルバムの長さは30分から40分。 飽きずに繰り返して聴いていられる長さにこだわった。
そんな制作途中のある日、旧友のダンサーChiiちゃんから
公演中の音楽を演奏して欲しいという話が持ち上がった。
四年ぶりに会った逗子のHAPPY GO LUCKEYでのこの不思議な始まりが、
アルバムのイメージを大きく左右していく。